木曽路はすべて山の中・・・

先週は冷えましたね~。

週末、愛知と岐阜に行ってきました。

名古屋→木曽・馬籠→豊田という初めてのルート。

静岡の県境を出た瞬間に雪を目にし、寒い寒いと言ってもたかがしれていたのかと苦笑い。

 

今回の写真は白黒をベースに。

 

まずは名古屋大学へ。

写真は豊田講堂です。ご存じ地元経済界の雄・トヨタ自動車の寄付により槇文彦の設計で半世紀前に建てられたこの建物。4年前に改修・増設工事も終わり、大学のシンボルとして頑張っています。

奥に見える既存部分は、1960年当時の無駄を排した水平・垂直軸で力強く構成されていて、コンクリートのパネル割も非常にきれい。丹下さんに作風が近い気もするけど、根源的なことをしっかり追及しているから、時が経っても色あせない力強さがあります。

 

 

ところでみなさん、2008年に名古屋大学で学ばれた小林誠博士、益川敏英博士がノーベル物理学賞、下村脩博士がノーベル化学賞を受賞されたことは憶えていますか?

 

東大、京大に負けじと、これを機に理学研究関係の施設がどんどん充実。

野依記念学術交流館やサイエンスギャラリーなど、建築家たちが腕を振るっています。

 

写真は名古屋大学博物館サテライト・ノーベル賞展示室です。

 

博士たちの学術論文の原本青焼きを読んでみて驚き。

科学者だから正しさが重要なのは当然なんだけど、その文章がとても読みやすくシンプルに収斂されています。

ということは、しっかりと研究が昇華されている証拠なんだなあと。

 

まあ、そんな人達だからノーベル賞を取ったんだろうけど(笑)、それでも理論や思想、思考過程や人間性のようなものが随所に滲み出ていて、手書き原稿ってやっぱりいいな~と、つくづく思いました。

 

 

 

「木曽路はすべて山の中である。あるところは岨づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。」

 

島崎藤村の小説、夜明け前の舞台となった木曽・馬籠で一泊しました。

 

坂の上で西を望むと、確かに日本の中央の山塊が濃尾平野につながっていくのを実感できる。

産業も田畑もろくになく、山林も尾張藩に厳しく管理され住民が容易に手が出せなかったこの町では、ここを通る人の往来こそが産業。それを支えることで生活が成り立つ、交通のまち。

 

馬籠宿の石畳。夕方訪れた時には、通りに誰もいなくて不安になったけど、朝になったら観光客がいっぱい出てきて驚きました。

 

藤村記念館の庭越しに回廊を望んで。

回廊は、建築家の谷口吉郎による設計。

 

本陣は燃えてしまったけれど、ここに大名を泊め、街道に対峙する。きっとそのころのアプローチは格や様式によってひとつひとつ規定されていたのだろうと想像できる敷地形状。

靴のままホールにドーンのホテルとは似ても似つかぬ日本独自の空間形式は、貴族たちの生活や日常の仕組みで発展してきたけど、その根底にあるのは様式美に対する厳しさなんだろうな、きっと。

 

 

 

最後に豊田市美術館へ。

設計は谷口吉生。そう、藤村記念館を手掛けた谷口吉郎さんの息子さん。

 

この建物は何度来てもいいなと思う。

建築を始めた時、建築に決めた時、そして建築家として独立した今。

 

建築っていいなぁと、帰り際に振り返って思える珠玉の建物です。