東京で住宅の土地相談に乗ってきた帰りに、石神井のちひろ美術館・東京に寄ってきました。
絵本作家、岩崎ちひろの作品展示を中心とするこの美術館が建て替えられてオープンしたのは2002年。
もともとは、ちひろの死後3年目の1977年に自邸の一角に誕生したわずか180㎡の美術館が始まりでした。
それから四半世紀。増築を繰り返した既存の建物を改修をするにあたり、建築家の内藤廣はクライアント以上に元の建物を「残す」形での増改築案こだわりました。
バリアフリーなどの事情もあり、ある段階で全面的な建て替えに切り替わりましたが、そこで出てきたのが分棟案。「元の配置を生かすことで記憶をつなぐ提案」と役員一同は大賛成だったとか。
迷路のような雰囲気に一役買っているのが建物と建物の間の小さな庭。
各展示室の繊細な世界観を守るちょうどよい緩衝地帯になることはもちろん、絵を見て次の展示室に向かう途中、庭に目をやるとモチーフとなった子供の遊ぶ姿がなんとなく想像できるかわいらしい場所。
大きくなくても記憶に残る庭。
そんな庭がある住宅もまた素敵です。