山崎のこと

建築士会のイベントで大阪に出張した帰りに山崎に寄ってきました。京都と大阪にまたがる西国街道の山崎宿。

歴史的には山崎の合戦で有名ですが、お目当てはアサヒビール大山崎山荘美術館とサントリー山崎蒸留所です。

 

まずは京都側に向かい、天王山の山麓を登っていくと・・・、

 

木立の向こうに英国風の山荘が見えてきました。もともとは大正・昭和の実業家、加賀正太郎氏が別荘として自ら設計したこの建物。現在は周辺の緑地が市民に開放された遊歩道として整備されています。

 

ちなみに右側に伸びるコンクリート製の通路は安藤忠雄氏設計の地中館に至るアプローチ。

建築家にとってはここを通るイメージのほうが有名かな・・・。

 

地形を活かした地下に下りていくアプローチの先に広がるのは・・・。

 

クロード・モネのための空間。

 

そう、「睡蓮」です。

 

ある特定の画家の絵を鑑賞するためだけに考え抜かれた空間。

 

天井から降り注ぐ光を浴びながらも、足元が下りていくことで心は静かに落ち着いていき、左側の小さな入口を抜けた先で別世界に出会います。

 

円柱状のコンパクトで力強い空間は、見る者と作品との距離をぐっと近づけ、モネが過ごした人生そのものに肉薄するような感覚にとらわれました。

 

設計の本質が人間の心理操作にあるということを、はっきりと表す建築作品です。

見晴らしも良く、とてもいいところ。

 

左は京都(山城)右は大阪(摂津)。向かいの山を挟んで山麓に街道が走るこの地が、古来いかに重要な要衝の地であるか、一目見て分かりました。

 

新幹線で通り過ぎる車窓から見るのとでは全然違いますね。 ここで聞く風の音には少し緊張感がありました。

 

さて一度下って大阪側へトコトコ歩き、サントリー山崎蒸留所へ着きました。

 

ここはもうすみません、100%ウイスキーが目当てです。

サントリーの蒸留所は余市(北海道)に続いて二つ目ですが、ほんとテンション上がります。

 

大好きなんです!

 

良質な地下水と湿潤な気候。多彩に原酒をつくり分けるこだわりの手法。

戦時中は竹林の奥に穴を掘って原酒の樽を空襲から守り、連綿とつないできた山崎の感性。

 

きっとこの辺りには親子何代かでここで働き、ウイスキーをつくり続けている人達もいるんだろうな。

 

ここでしかできない、厳しくも豊かな仕事。

 

飲んでやっぱり。こんなに美味しいんだもん。

 

いい仕事だな。