横浜にて

春の嵐を心配しつつ、本日は横浜で大学時代の恩師の退職記念講演会・交流会に出席してきました。

会場はYCCヨコハマ創造都市センター(旧第一銀行を保存改修した横浜市認定歴史的建造物)です。

 

多くの懐かしい顔ぶれと再会し、先生の研究室に所属していろいろな建物の調査に参加したことや、おおらかで自由な当時の雰囲気、頑張ったり駄目だったりした自分を思い出し、私が今も建築の道を歩んでいるのはこの研究室との縁があったからなんだなとつくづく思いました。

 

雨の気配も近づいていましたが、まち歩きに出ていろいろな建物を見て回りました。

 

例えば上の建物。皆さんがイメージする横浜の歴史的な近代建築からするとだいぶシュールな建物ですが(笑)、旧横浜居留地48番館という横浜最古の煉瓦造り建築です。

モリソン商会の建物の遺構の一部ですが、今から130年前(明治16年)ですからまさに文明開化の真っ最中。

 

有名な建物の調査もしますが、こういう小さな物語を大切に紡いでいく事で横浜の街並みや景観作りはできていきます。この研究室からも横浜市に多くの人材を送り出し、長い年月をかけ一緒になってまちづくりをしてきました。

今日もOBの市の職員が一生懸命アテンドしてくれました。

 

こちらは三井物産横浜ビル(明治44年)。我が国で初めて躯体のすべてを鉄筋コンクリートでつくった建物です。

背後の倉庫には国家財政を左右するほどの生糸が保管されていたという輸出産業の最前線基地。

 

当時の横浜はまさに「稼ぐ街」ですから、国家にとっても重要建築物として最新技術がいち早く導入されました。

関東大震災や空襲で壊滅的な被害も受けましたが、こうして生き残った由緒ある建物の存在が復興への歩みを勇気付けてきたのだと思います。

 

 

私自身も受験でこの街を訪れた時に、山下町のホテルのまわりを散策しながら、

 

「こんな街で建築を勉強するのもいいかもな」

 

って思ったのが全ての始まりだったような気がします。

 

・・・あれから18年。

先生、長い間本当にお疲れ様でした。

 

地元の国立大学の先生ということで、本当は専門外だったことも引き受けざるを得ない時もあったかもしれません。ですが、そのおかげで幾多の歴史的建造物が保存・活用され、私のように建築に出会えた人間もおります。

 

無事定年を迎えたということで、これからは好きな建築芸術の研究に自由に時間を割いて下さいね。

 

今後ともどうぞよろしくお願いします。