花沢の里

小雨降る午後、焼津市の花沢の里に行って来ました。

今日は日本建築家協会静岡地域会(JIA静岡)の第一回JIA塾。広葉樹材を取り扱う株式会社山王さん主催の勉強会でした。

 

会場は同社の常務取締役のIさんのご自宅。

この花沢の里の中の古民家を改装して田舎暮らしを楽しんでいらっしゃいます。

 

同社は元々北海道産の広葉樹を中心に扱う会社でしたが、現在はアメリカ産広葉樹がメイン。戦後の日本経済の変化と歩調を合わせ、山や材木市場も大きく変遷していきました。

 

昭和40年台、北海道産のミズナラは世界最高品質で欧米から高い評価を得ていました。外貨の欲しい日本は(北海道の山は全部国有林か道有林)、全てインチ寸法で製材し、積極的に輸出をします。特にヨーロッパでは棺桶に用いられ、高額で買われていきました。

 

一方で、国内資源の海外流出に対しこのままでいいのかと憂う機運が高まり、道も輸出型でなく国内消費拡大に向けて様々なプロモーションをしかけます。

 

 

 

テレビが普及し外枠用にブナが大量に売れたり、エレキギターのボディーにセン、オーディオボックスにクルミ、鏡台に栗が使われ、刑務所で作る学校机にはナラが用いられました。

 

しかし、落札した山を一山丸裸にする伐採方法を繰り返してきたせいで、日本で経済ベースの流通経路に乗る広葉樹は次第に姿を消してしまいました。広葉樹は人口植林ができず自然植林に任せるしかないので、元通りになるには100年~200年もかかるのです。

 

婚礼家具もほとんどなくなり、テレビや音楽の楽しみ方も変わりました。そして現在では、供給が安定し人工乾燥設備も整っているアメリカ産広葉樹が普及するようになったのでした・・・。

 

う~ん、なんか切ない。

 

国産広葉樹の復活は遠い遠い未来なのか~。構造材となる針葉樹(杉、ヒノキ等)には助成する政策があるけど、国産広葉樹は製材する動きすらないらしい・・・。

 

ただ地球規模で見てみると、それぞれの土地で育ったものが然るべきタイミングでデビューし、市場を獲得していくということでしょうか。経済行為である以上当然ではありますが、木も資源ビジネス。

 

寿命と時間という厳しい現実に直面し、いろいろ考えさせられました。