岡山の旅2

朝一で訪れた岡山県庁舎。建築家・前川國男の設計です。若き日にフランスに渡りパリでル・コルビュジェに師事した前川さん。このサッシとアルミパネルで構成されたカーテンウォールの水平性と足元のピロティを見ていると、なんとなくサヴォア邸を思い出します。が、凄い迫力とオーラ。これが1957年の作品とは。

この足元のエントランス空間、とても居心地がいいです。日曜の朝なので誰もいませんが、コンクリートの列柱の力強さ、リズム。前後が開放されているのでとても明るい空間です。

中庭を臨んで。こうして見ると、どの部分もプロポーションがとてもいいんですね。建築全体としてもそうですし、各細部で見たときでもそうですし。新しい空間、新しい空間と、コンセプトが暴走する前に、キッチリとやるべきことをやるダンディズム。素晴らしい。

そして岡山市で最後に見たのは岡山県立美術館。建築家・岡田新一の設計です。街中にありアプローチをそれほど広くとれない中で、建築のエレベーションを操作して視線を誘導しています。今から30年前の1987に完成しました。日本経済に勢いがあった時代だからでしょうか、いい材料を使っています。岡田さんが設計した建物は入るの初めてかもしれません。最高裁判所ってなかなか行けませんしね。

入って左に行くと大空間の階段となっています。北側の中庭からたっぷりと取り込んだ落ち着いた採光で、訪れた人の心を寛ぎとともに静めてくれます。上に登っていって展示室に入っていく構成です。

左を見るとこちらは一層下がったところから立ち上がる大展示室。南側の採光を押さえ、トップライトで拡散光を取り入れています。そして空間自体が力強い。シンプルでありながらハッキリとしたダイナミックさがある。全体を一望できて、わあっと立ち止まってしまう。まだほとんど進んでいないのに早くも興奮気味です。

階段を上りきり展示室に入る直前のスペース。ここでグッと天井が迫ることで意識が切り替わるようになっています。このプロポーション、整っています。長手方向の軸線、進行方向のビューに対して本当に手を抜いてない。石と光と空間でここまでやるかと敬服です。壁の石張りの仕方、手摺の角度、金物とガラスの取合い、すべてに並々ならぬ情熱が注がれているのが分かります。

展示を見終わった後、進められて中庭に出てみました。外壁のストライプ、実は緑色の釉薬を塗ったタイルが貼られています。竹と、岡山城の色彩を意識しているのだとか。

 

この訪問では、受付で和服を着たショートカットのご婦人が非常に熱心に建築のことを話して下さいました。倉敷に移動する時間が迫る中、あそこもあそこもと最後はハアハア言いながら動いて下さり。本当にありがとうございました。隣にある岡田先生が設計したオリエント美術館も是非見て行って下さいと強く進められ急ぎましたがスミマセン、休館でした。しかしお気持ちは確かに受け取りました。またお会いしましょう。