JIA静岡建築家講演会

本日はJIA日本建築家協会静岡地域会の通常総会がありました。静岡地域会、また東海支部(静岡、愛知、三重、岐阜)においては今年が創立30周年の年になります。公益社団法人として市民に対する企画も考えていきたいとのことで、私もお手伝いを頼まれました。その際はよろしくお願いします。

 

総会後は建築家講演会が開かれました。本日の講師は安田幸一さんです。現在は東工大の教授をされており、箱根のポーラ美術館を設計された方です。ポーラ美術館以後の15年の取り組みについてお話していただきました。

 

安田さんは昨年住宅作品で日本建築家協会建築環境最優秀賞を受賞されているのですが、その設計が非常に示唆に富むものでした。私と同じく意匠を担当する建築家であり、設備設計者ではありません。機械設備や太陽光パネルなどに頼るのでなく、開口部の在り方や、居室の囲み方、配置の仕方、通風のとり方、光の入れ方など、まずコントロールできるところを慎重に考えながら整理していくことで導かれる快適な居住空間の在り方は、私たちの手が届く、素朴な可能性を感じさせるものでした。

 

一口に環境と言う言葉が出ると、すぐ膨大なデータを持ち出したり、局所の部材性能を極めたり、いかつい環境設備を装備したりする人もいますが、考えてみれば元々その風土に適した伝統的な日本家屋の過ごしやすさは、そのようなことで決まっていたわけではありません。

敷地周辺から手に入れられる建材を使いながら、建築の作り方の中で何か手がないか?生活しやすい状態をつくるために、工法や空間のとり方で工夫できないか?先人達もそう考えたはずです。

 

動線や機能的配置とは別に、違う視点で空間構成を見つめてみることで、新しい環境建築が生まれることでしょう。私も大いに参考になり、取り組んでみようと思いました。